2016年

2016/2/18 見られてはいけないものを

2016年第一弾の日記は、台湾の医療事情に関するお話です。

僕は毎年健康診断を受けています。基本的に言葉には不自由しないので、保険がきく病院に行けば安く済むのですが、毎回高額を支払い、内視鏡検査で定評のある輝雄クリニックに行くようにしています。昨年10月恒例の健康診断を受けた際、腸に摘出した方がよいとされるポリープが見つかりました。一年前の時点では3mmということで経過観察だったのですが、一年後に9mmになっていたということで、将来のためには取っておいた方がよいというアドバイスを受けました。
そのクリニックはとても良心的で、ポリープ摘出手術を受ける場合、約5万元(175,000円)かかるものの、市内の大学病院等で受ければ、10分の1で済むと教えてくれました。多少の不安はあったのですが、僕は後者(会社の近くにある有名なM病院)を選びました。

台湾人の友人がM病院の医者リストから、評判のよい医者(X先生)を探してくれて、12月末に台湾人同僚(なっちゃん)に付き添ってもらい病院に行ってきました。そして、手術日は1/20に決まりました。友達に手術の話をすると、みな、「大丈夫なの?」「怖くないの?」と質問するのですが、お医者さんの話によると、簡単な手術だということだったので、僕自身、かなり甘く見ていました。

手術当日、軽い浣腸をした1時間後、僕は特殊なパンツに着替えて、手術台にあがり、くの字になって、手術を待ちます。
そして、手術開始です。
この時点では、X先生は登場せず、若い医者が内視鏡を握っています。そして、看護婦と大きな声で僕の手術とは関係ないことを話しながら、内視鏡が挿入されるのです。
輝雄クリニックでは内視鏡検査をする時は、毎回麻酔で眠りについているので、何の痛みも違和感も感じないのですが、今回は初の麻酔のない状態での内視鏡でした。内視鏡が入る時までは大丈夫なのですが、その後医者がたくさん空気を入れてくる感じで、腸が膨らみ始めます。またそのやり方がとても荒いのです。時に、おへそのあたりに激痛が走り、腸が破裂するのではないかという不安に襲われました。この時、僕は5万元を支払って、輝雄クリニックで手術を受ければよかったと後悔をし始めると同時に、大声で「痛い痛い」とSOS発信をして、何とか医者にもっと気を配るように働きかけました。当初5分位で終わるものと思っていたのですが、全く終わる気配がありません。挙句の果てには、看護婦さんが僕の腸の中が写っているモニターや輝雄クリニックの日本語版報告書を見ながら、「9cmのポリープなんて見つからないわよね?」と言っています。医者は、「9cmじゃなくて、9mmだろ?でも日本語で書かれてるから、よくわからないよな?」などと話しています。「痛い痛い」と言っても何ら改善されないことを知った僕は、もう騒ぐことはせず、半ばあきれた状態で、静かになるがままにしていました。そして、救世主(X先生)の登場です。X先生はさすがベテラン、静かに内視鏡を握り、すぐにポリープを見つけて、切除してくれました。

問題は、その後です。
内視鏡が外されたものの、そのまま手術台に横たわっている段階で、看護婦さんが「付き添いの人がいるから、中にいれますね!」X先生に言いました。僕は、「え?」と一瞬焦りましたが、そうこうしているうちに、なっちゃんがずかずか中に入ってきました。僕はくの字になり、壁を向いていた状態なので、なっちゃんがカーテンの向こうにいるのか、どこまで僕のことを見ることができているのかまったくわかりません。


(なぜか面白くて取っておいた写真。日記で使えるとは思いませんでした。)

なっちゃんが僕に代わって一生懸命医者や看護婦に質問している声が聞こえます。
なっちゃん「お酒はいつから飲めますか?」
看護婦「お酒?」
なっちゃん「らおばん(ボスという意味)はお酒が好きなんですよ。」
このなっちゃんの「らおばん(ボスという意味)」という言葉で、家族の人間ではないと知った看護婦さんは、なっちゃんを再び
手術室の外にださせました。

洋服を着て手術室から出てきた僕に、なっちゃんはにこにこしながら、赤ちゃんのような日本語でこう話しかけてきました。
「らおばん(でへへへへ←彼女の笑い声)、あたし、今、らおばんのお尻と玉子をみましたよ。(でへへへへへへ)」
やはり、すべて見られてしまったようです。笑汗

今回のポリープ摘出手術代は、約1,000元(3,600円)也。
当初輝雄クリニックの10分の1という話でしたが、結果的には50分の1で収まりました。
輝雄クリニックで手術を受けていれば、さすがに、なっちゃんにた玉子を見られることもなかったでしょうけど、術後も特に問題はなく、病理検査の結果も良性で心配なさそうなので、結果としては、こちらでよかったのかなと思っています。笑