2015年

2015/8/10 念願の李登輝元総統

台湾に長く住む日本人にとって、台湾をこよなく愛する日本人にとって、李登輝前総統はとても大きな存在です。
大学の先輩で李登輝さんときわめて親しい方がいるので、これまで何度か少人数で会わせてもらうチャンスも浮上したのですが、結局実現せずでした。
 
李登輝さんにお会いできるチャンスが突如舞い降りてきたのが、7月初めです。
これまた大学の先輩で、台湾山頭火社長の足立さんからの電話でした。
足立さん:「太郎君、7/7は何してる?」
僕:「ちょっとスケジュールを調べますね!…大丈夫ですよ。何かありますか?」
足立さん:「予定が入ってても、きっとその予定をキャンセルしてまで来ることになるぞ。李登輝さんだ!」
足立さんと親しくされている方で、台湾でもかなりのネットワークをお持ちのUさんから、李登輝さんが講演をしていただけるというロータリークラブにゲストとして参加するお誘いを受けたとのことでした。そして、ありがたいことに後輩である僕にも「李登輝さんに会えるチャンスを!」と、Uさんに頼んでくだっさったのでした。

台湾には約10年間住んでいるので、一通りの歴史は知っていますが、この講演会の直前の週末は手元にあった李登輝さんに関わる本、台湾の歴史に関わる本を再度読み直しました。

(父はブックオフで台湾関係の本を見つけるとすぐ購入をして、先に読み、その後僕に読むように薦めるのです。台湾にもそのような本がいくつもあります。)
 
7月7日(火)李登輝さんにお会いできる当日。
足立さんからの助言もあり、久しぶりにトレードマーク(?)の髭もそり落とし、当日は清い心、万全の態勢で臨みました。
18:00から受付開始だったので、17:00に会場のホテルの近くにある足立さんの家まで行き談笑をした後、万感の思いで会場に向かいました。
足立さんのマンションの管理人・宋さんに向かって、大きな声で「これから李登輝さんと会うんだよ!」と誇らしげに言い放つ足立さん、それを僕が「我們等一下會跟李登輝先生見面」と通訳をして、宋さんは、「え~~~、李登輝さん!?」と驚いています。
足立さんは手を挙げ、元気に「行ってきます!」と。
3分ほど歩き、会場のホテルへ到着。

足立さん:
「李登輝さんが92歳であることを考えれば、突然キャンセルということもあり得るから、太郎、あまり期待しすぎるなよ!」。
僕:「この時間まで連絡がないので、大丈夫じゃないですか!?」。
そんな会話をしながら、会場の受付につくと、お誘いいただいたUさんが先にいらっしゃっていました。そして、僕らを見て、「え!?メール見てないですか!?」と。
僕らは一瞬嫌な予感が。
的中です。
体調が思わしくなく、直前でキャンセルになったとのことでした。
僕と足立さんは、呆然です。。。。冷静を装いながらも。。。
 
この日のロータリークラブでは、日本人秘書のHさんが代行であいさつをされていました。
その際、公式発表は翌日になるが、李登輝さんは7月末に日本へ行き、国会の議員会館で演説をすることが決まっているというお話を伺いました。
翌日、秘書の方のお話通り、Yahooニュースで李登輝さんの来日の話が取り上げられていました。
Yahooニュースのコメント欄を見ると、99%の人が肯定的なコメントを残しており、多くの日本人が李登輝さんの来日を歓迎していました。
どんなによい話であっても、多くのひねくれ者の発言が出てくるのですが、あれほど好意的な発言しか出てこないニュースは初めて見ました。
そして、こちらが議員会館の講演の模様です。
 
前置きが長くなりましたが、幸いにもその後すぐに、8月7日の日本人工商会での李登輝さんの講演会に参加できるチャンスをいただき、先日行ってきました。
ロータリークラブとは異なり、直接お話しできるチャンスもありませんが、生で李登輝さんのお姿を見ることができ、お声を聴けるだけでもとても幸せのことです。
この週末の台湾は超大型台風が接近しており、台風の上陸が1日早まっていれば、これまたこのチャンスは消えていたでしょう。本当に危機一髪でした。
 
講演内容は日本における議員会館の講演内容と同じく「台湾のパラダイムの変換」でした。
× 託古改制
○ 脱古改新
ボキャブラリーの少ない僕が説明をするよりも、こちらを見ていただいた方がわかりやすいと思います。
 
李登輝さんは現在92歳、政治的な活動ができるのはあと5年。この5年間にやり遂げたいこともいろいろ語ってらっしゃいました
 
約40分立たれた状態で講演をされ、その後の質問コーナーは一度座られたのですが、座られていたのは質問を聞く時のみ。
質問に回答をする時は、立ち上がって、回答をされていました。
時に、迫力を持ってお話をされ、あまり笑顔は見せなかったのですが、最後に花束贈呈の際は、最前列で講演を聞かれていた奥様を呼ばれて、「この花はあなたにあげる」とニコニコして花束を渡されていました。


縁があって台湾に住むことになった日本人の僕たちに向かって、「これからも台湾に関心を持ち続けてください」とおっしゃっていました。
僕ら日本人が台湾を身近に感じることや、日本と台湾の関係がここまで友好的であるのも、この方の貢献が非常に大きいのだと思います。
 
李登輝さんには、これからもお元気でご活躍いただきたいです。