2020年

2020/4/14 世界で一番安全?台湾のコロナ状況

引き続き、全世界でコロナウィルスが猛威を振るっていますが、日本の友人から「台湾はどうなの?」と質問を受けることがよくあります。台湾人の友人との会話から「なるほどな」と感じたこと、そして、台湾から日本を見て感じたことがあったので、まとめてみます。
 
まず、台湾の現状ですが、かなり安全と言えると思います。公共交通機関のマスク着用が義務付けられ、周りにリモートワークの友達が数人いたりはしますが、普通に外出・外食ができており、これまでとほぼ変わらない生活を送ることができています。最近まで海外から戻ってくる台湾人が多かったので、一日に公表される感染者数は10人~20人、台湾では海外からの帰国者(境外)と国内(本土)という分け方で発表され、ほとんどの感染者が帰国者なので、市中感染はまだ始まってない状況だと思われます。最近は、海外からの帰国も一巡したので、公表される感染者数は1桁となり、本日、4/14の公表された感染者数はなんと0でした。この状況でも台湾では気を抜かずに頑張っています。

 
は、なぜ台湾が今こうして通常の生活を送られているのでしょうか?

①2016年の総統選で民進党が勝利したこと
それまでの馬政権時代(国民党)、台湾は中国人観光客で溢れかえっていました。2016年の蔡政権(民進党)への政権交代後、中国の圧力で台湾旅行を規制する動きが始まり、中国人観光客が激減、これにより、台湾の観光業は大きな痛手を受けたと言われています。ただ、これは不幸中の幸いだったようです。もし、2016年の総統選で国民党が勝っていれば、その後も中国人観光客が来台し、コロナウィルスのコントロールも難しくなっていたかもしれません
 
②2020年の総統選(1/11投開票)で民進党が勝利したこと
総統選の一年前まで国民党が有利だと言われていたものの、潮目が変わったのが、昨年後半の香港の逃亡犯条例のデモです。このデモで危機感を持った台湾人は、親中の国民党ではなく、中国とは距離を置く民進党を選び、蔡英文が史上初の800万票を獲得して当選したのです。もし、国民党が勝っていれば、5月の政権交代時までの政治的空白期間に民進党はタイムリーで思い切った政策を打ち出すことができず、今の台湾がSARSの時のように凄惨な状況になっていた可能性もあったと思います。
 
③2003年のSARSの経験があるので、政府と国民の危機意識が高かったこと
2003年、台湾はSARSに苦しめられました。2003年4月、僕が初めて台湾に来た時、SARSはまだ感染拡大という状況ではありませんでしたが、その後、院内感染などが続き、多くの方が犠牲になったようです。
2003年5月 基隆(この時もマスク着用が義務付けられていました)
 
今、話題になっていますが、台湾は2019/12/31にWHOに向けてこのウィルスに対する注意を促していたということからも、我々が何も知らずにお正月を祝っているあの頃から、台湾政府はこのウィルスを警戒していたことが分かります。中国からの圧力で加盟できないWHOにもこうして警告を発しているのに、WHOが取り合わなかったことで、全世界がここまで混乱することになったわけです。
WHOへのメール

日本人の僕からはちょっとオーバーだと感じる程、台湾の人たち得体のしれないウィルスを怖がっていました。
例えば、うちのマンションでは一月後半(旧正月明け)からエレベーター内でのマスク着用が推奨され始めました。通常エレベーターで他の住人と顔を合わせることはないのに何故マスクをしなくてはいけないのだろう?と思っていましたが、エレベーターのボタンに飛んだ飛沫から感染が広がることを恐れていたんですね。
 
ちなみに、台湾では4月初めに清明節(日本のお盆)の4連休があり、僕は台湾最南端のリゾート地である墾丁に行ってきました。
僕自身この時期に旅行をしていいか迷いました。ただ、連休一週間前の段階で感染者数は増えることもなく状況が安定していたので、マスクをして消毒用のアルコールを携帯して旅行すれば、問題ないと判断しました。連休が一つのターニングポイントになると言われており、多くの人が移動を控えると思っていましたが、海外に出れない状況のため、台湾国内での移動が増え、各観光地のホテルはほぼ満室というニュースを見ました。僕の訪れた墾丁も旅行客で溢れ、人が密集している地域だと判断した政府が人との距離感を保つように!」と携帯に警告が届いた程です。

墾丁の様子はメディアでも大きく報道され、
SNSでは「このお盆休みに墾丁に行っている奴らは
、来年お墓参りをされている側になってるはずだ!」等と心ない発言が飛び交っていました。

大量の警察官が動員され、墾丁の大通りは物々しい感じでした。
 
④国民と政府が一致団結してコロナウィルスと戦っていること
台湾のコロナウィルス対策は全世界が称賛しています。例えば、政府がマスクを買いとり、生産量が増えるまで、公平にマスクが行き渡るような仕組みを作ったり、衛生福利部部長の陳時中指揮官を筆頭とする専門家チームが毎日記者会見を開き、感染者数や感染源等の報告をしたり、迅速で、賢明で、人情を感じられる台湾政府の政策には感心させられます。休日返上で働き続けている陳時中部長が記者会見中に感極まって声を詰まらせたり、今ではLINEのスタンプが作られるほど国民のヒーローになっています。こういう信頼のできる政府、専門家チームが頑張っている姿を見れば、普通の人間であれば一致団結してこのウィルスと闘おうという気持ちになりますよね。

「一致団結して、このウィルスに打ち勝とう!」
 
片や、我々の国の政策は、、、、「国民の命より経済優先ですか?」、これまで散々国民を騙し続けてきたあの政府は、今回のコロナ対策でも、対応は後手に回り、そして、ぶれ続ける政策、、、国民が不満・不安に思って当然だと思います。休業要請の際の補償はそう簡単ではないと思いますが、そもそも、この状況を作り上げた責任は誰にあるのでしょうか?国会議員の歳費を削減することなく「国は補償できません!」等と言われても、納得できません。(4/14、「歳費を2割削減で合意」というニュースを見ましたが、とにかく決断が遅く、言われてから仕方なく対応したというイメージですよね。日本を見ていると、国民が国会議員のために働いて税金を支払っているような感じがしてきました。国民は国会議員の奴隷ですか?)。台湾とは正反対の政府の対応に驚きと失望の連続です。もしコロナウィルスで大切な父親や親戚を失ったら、僕は今の政権を一生恨み続けます。きっと、皆、同じ気持ちではないでしょうか。
 
先日、日本の友人が「オンライン飲み会」に誘ってくれました。LINEでお互いの顔を写して、数人でお酒を飲みながら語り合うオンライン飲み会、僕は初めての経験でした。日本の友達たちは皆リモートワークで、「毎日退屈だ〜」とか、「キーボードのどこの場所に洗濯ばさみを挟むと絶えずオンラインでサボってることがばれないよ!」とか、そんな会話で盛り上がりました。
 
彼らと話をしたり、ニュースを見ている中で、このコロナウィルスは時代の流れを大きく変える転換点だという実感が湧いてきました。
リモートワークでは対応できない業種も沢山あるでしょうが、リモートワークで対応ができる業種に関しては、これによりこれまでの業務に沢山の無駄(一部の会議・接待・出張・通勤)があったことに気付かされるでしょうし、一人一人の人生観が大きく変わり始めてるような気がしてなりません
 
そして、僕自身が変わったのは「選挙に行かないと!」という思いが出てきたことです。森友・財務省公文書改ざん問題からなんとなくは感じてましたが、それはやはり他人事でしかありませんでした。ただ、今回の事は誰が感染してもおかしくないという意味で、自分自身にも大きく関わってくることです。国を私物化している今の政権に任せていたら、本当に日本は終わりだと感じるようになりました。きっと、自分のように感じている人は多くいると思います。台湾と異なり、首相を直接選べるような選挙制度ではないですが、選挙権を行使せずに、文句ばかり言ってても何も始まらないので。
ちなみに、昨年末台湾でパスポートを更新した際に、在外投票の登録ができるというポスターを見て、登録申請をして、先日在外選挙人証が届いたところでした。台湾からですが、これからは選挙権しっかり行使します。


日本はこれから大変な時期を迎えると思いますが、政府に期待することができない今、治療薬やワクチンができるまで、日本人一人一人が感染しない努力・感染させない努力をすることしかできません
とにかく被害が少なくすむことを祈るとともに、このコロナウィルスが様々なことが良い方向に動き出すきっかけになったと思えるような日が早く来ることを願うばかりです。